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■京都 千年の誘い

喧騒の中に眠る平安の女流歌人

【誓願寺】【誠心院】

 京都に来た修学旅行生がお土産を求めて歩く新京極通り。にぎやかな話し声が一日中通りに響いている。その新京極通りで、わずか10メートルほどはなれて誓願寺と誠心院という2寺が門を並べている。豊臣秀吉の都市整備でこの地に移転してきた寺だが、いず れも平安時代の恋多き女流歌人、和泉式部ゆかりの寺。式部の「あらざらむ この世のほかの おもひでに 今ひとたびの あふこともがな」の歌は、後拾遺集にとられており百人一首でも有名な歌人。北側の誓願寺で48日間こもって念仏を唱え、娘に先立たれた悲しさを癒したという。先立った娘、小式部の内侍は「大江山 いく野の道の とほれければ まだふみもみず 天の橋立」(金葉集)と、こちらも百人一首で有名な歌の作者だが、和泉式部が娘を失ったショックはよほどのものだったのだろう。

 和泉式部は尼になり万寿4年(1027年)に藤原道長から庵が与えられた。これが誠心院のおこりとされ、のちに式部の法名からこの寺の名前になった。もちろん、初代住職は和泉式部。

 誠心院には新京極通りに面して和泉式部の墓といわれる石塔が建っている。通りからも見えるが、修学旅行生らはほとんど素通り。寺に入ってみたが、誰もいなかった。

 また、誓願寺には扇塚があり、ここにお参りすると芸道が上達するといわれ、歌舞伎や能などの芸能人がよく訪れる。この扇塚は、世阿弥の作といわれる謡曲「扇塚」に由来し、和泉式部が歌舞の菩薩となって現れることから信仰が生まれた。こんなにぎやかなところに、平安の雅な雰囲気を残しているのは、やはり京都の奥の深いところかもしれない。

《所在地》
誓願寺 京都市中京区新京極桜之町453
誠心院 京都市中京区新京極六角下ル中筋町
     (阪急電車・四条下車徒歩10分)

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