2008年6月11日
「うずくまる」(滋賀県甲賀市信楽町) 黒柿
≪推薦人…喫茶店「クラフト」マスター 植田郁さん ≫
■カギは「タイミング」と「温度」 熟練の技が生み出す信楽の味
どこから見ても干し柿そのもの。知らずに出されたら、あんが入っていることは、食べる瞬間まで分からない。ジューシーな干し柿とあんが融合した絶妙な味わい。
信楽焼の産地にある喫茶店「クラフト」のマスター、植田郁さん(71)のイチ押しは、和菓子店「うずくまる」の「黒柿」だ。
「子供のころに食べた干し柿を、思い起こさせます。自然のままの、やさしくて懐かしい和菓子。干し柿とあんが主張し合うことがなく、お互いの良いところが融合した味わいは、まさに職人芸。とにかく食べてみてください」
さっそく、観光案内所を兼ねた伝統産業会館前の喫茶店を飛び出し、紹介された「うずくまる」へ。
信楽の市街地からは、やや外れた国道沿いの、信楽焼のタイルでできたモダンな店構えが目印だ。
「うちの看板商品は、室町時代に信楽で焼かれた“うずくまる”という小さい壼をイメージした『銘菓うずくまる』ですが、地元の一番人気はやはり『黒柿』ですね」とは、「黒柿」の生みの親で社長の上田悦男さん(65)。
「八つ橋」を得意とする京都の和菓子メーカーで修業し、故郷の信楽で35年前に開店した。
「肝心なのは、干し柿にあんを入れるタイミングと温度。フルーティーな柿の甘みをあん玉に浸透させる『移行』と、あんの糖分を柿に浸透させる『糖化』。この相互作用をいかに進行させるかが、おいしさのカギ。2カ月間寝かせます」
ここに、八つ橋の皮とあんのうまみを調和させる熟練の製造技術が生きている。
「『なんや、柿やないか』と思わせておいて、『う、ちゃう』といわせたい」と、遊び心も忘れない上田社長。
見た目にもこだわり、干し柿の表面に浮き出る白い粉を、もち米でつくられた甲賀市特産の「寒梅粉」で表現する。あんを入れるために開けた口も“元通り”に直す。「手作業でないと作れません」と胸を張る。
柿の表面のざらざら感や、へたの部分をみると、信楽焼の伝統を感じさせる独特の渋さもある。「信楽はなんといっても信楽焼。そのイメージを大切にして、名称を『柿壼』に変えることも検討中です」
◇
うずくまる 信楽高原鉄道の終点、信楽駅から徒歩約15分。店内には信楽焼の名品が並び、昼食や喫茶も楽しめる。土産品として定番の「銘菓うずくまる」は1個100円。「黒柿」は1個250円。他に特産の朝宮茶の風味とあんこがマッチした「狸の腹つつみ」などが人気。営業時間は9時から17時半まで。月曜定休。TEL0748・82・1413
(2008年6月11日 15:47)
Category:別腹の誘惑
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