松下、姫路液晶工場を着工 テレビ、全方位へ攻勢 有機EL量産も視野に
松下電器産業は14日、兵庫県姫路市で液晶テレビ用のパネル新工場を着工した。世界首位のプラズマテレビとともに薄型テレビの両輪となる液晶パネルも生産することで、「垂直統合型」の事業構造へ転換する。次世代ディスプレーとして有力視される有機EL(エレクトロ・ルミネッセンス)の量産も視野に入れており、テレビ事業で全方位の勝ちにこだわる松下の決意が表れている。
「テレビは松下の顔。テレビなくして松下の発展は望めない」
松下でAV(音響・映像)機器を手がける社内分社、パナソニックAVCネットワークス社の森田研・上席副社長(常務役員)は、14日の姫路新工場起工式後のあいさつでこう強調した。
松下は、液晶パネルを日立製作所などと共同出資のIPSアルファや台湾メーカーなどから調達してきたが「これまで台湾メーカーからの供給量が足りずに苦しんだ」(関係者)。昨年度の液晶テレビ販売台数は325万台と35%増になったが、目標の400万台には到達できなかった。
今年度の目標はプラズマ600万台、液晶500万台。来年度にはプラズマと液晶を合わせて1250万台の販売を目指す。
さらにプラズマテレビをめぐっては、パイオニアが生産撤退し、日立製作所が事業縮小。韓国LG電子が追加投資を凍結するなどライバル各社の勢いが急速に失われつつある。松下は兵庫県尼崎市に世界最大級のプラズマ・ディスプレー・パネル(PDP)新工場を来年5月に稼働させる計画で、プラズマでは“独り勝ち”の状態。ただ、薄型テレビの市場規模でみると液晶の拡大が顕著と予測されており、最重要事業に位置づける薄型テレビで勝ち抜くためには、液晶パネルの安定供給が課題だった。
一方、液晶のライバル各社は強気の戦略を描いている。今年度に液晶テレビ販売の目標1700万台を掲げるソニーは「パネル調達と生産能力、販売力それぞれ目標達成に向けて備えている」と自信を見せる。
国内首位のシャープは1000万台の目標を掲げ、拡大を続ける中国市場を重点エリアとして販売を強化。堺市で21年度中の操業を目指し建設中の世界最大の液晶パネル新工場は子会社化し、ソニーとの合弁会社で運営する。
姫路の新工場は、こうしたライバル各社を迎え撃つ戦略拠点に位置づけられるが、37型など大画面の有機ELテレビの量産する場所も周辺に確保しており、将来的にもテレビ事業で勝ち抜く姿勢が明確にした。
ただ、10月で社名を「パナソニック」に変更して海外ブランド力を強化する松下だが、「もともとパナソニックブランドで販売している欧米で社名変更とブランド統一の効果は限定的」(関係者)という声もある。
相次ぐ巨額投資に見合う収益を稼ぐためにも海外を中心としたブランド力と販売力の強化が課題となる。
(内山智彦)
(2008年7月15日 09:06)


