連合大阪堺地区協議会議長 一瀬幹雄さん - 「割烹一」
■旬のうまいものは主人におまかせで
堺市西区のJR阪和線津久野駅から歩いて3分。通りを曲がると、道を挟んだ高層マンションの向かいに、長細いちょうちんが目印の「割烹(かっぽう)一」がある。静かな住宅街に溶け込んでいて、隠れ家のような存在だ。
主人の長澤昭彦さん(40)は料亭で12年間修業した後、31歳で独立して平成11年、この店をオープンした。落ち着いた感じの店内はL字型のカウンター席のほか、テーブル席、奥に座敷がある。「清潔感があるし、優雅な雰囲気を味わえます。1人で来ても家族で来ても良し。仕事関係で使っても良し」。そう絶賛するのは、オープン当初からこの店の常連客である連合大阪堺地区協議会議長の一瀬幹雄さん(57)。
「私は能登半島(石川県)の生まれで、幼いころから近場で獲れた新鮮な魚を食べて育ちましたから、おいしいか、そうでないかはすぐわかる」と一瀬さん。これを受け、長澤さんは「魚はしめた後に“おいしい時間”があります。魚によって異なるので、タイミングを考えてお出ししているんですよ」と話した。
仕入れの際は気に入った食材を見ると、すぐに購入。そのため常連客になれば、「(メニューに)書いていない、何かある?」と尋ねてくるのが、当たり前になっているという。「私がオススメするのが『おまかせ御膳(ごぜん)』。その時々のおいしい物を食べさせてくれますから」と一瀬さん。
おまかせ御膳は前菜や造りなど8品のコース。この日は「ごま豆腐」や「男爵北海まんじゅう かにあんかけ」などが登場した。彩り豊かで箸(はし)をつけるのがもったいないほど。味を通して一品一品が丁寧に作られているのが伝わってくる。
メーンディッシュである「旬菜」は、11種類の料理の中から一つを選ぶ。今の時期なら、はも。一瀬さんは「はもすき鍋」を注文した。冷房の効いた涼しげな店内で、旬の食材を温かい鍋で食すというのも、何だかぜいたくな気分である。長澤さんは「旬をにらんで、お客さまを魅了できる工夫をしていきたいですね」と語る。
置いている地酒は「〆張鶴」など、いわゆる「淡麗辛口」とされる新潟の酒。「各地の酒も味わってみましたが、うちの料理には新潟の酒が合うと思いまして」。一時のブームに流されず置き続けるのも、日本酒党にはうれしい限りだ。
「料理は人。味もさることながら、この笑顔がいい」と一瀬さん。長澤さんは「忙しすぎると、目が血走っているかもしれませんが…」と、今度は苦笑い。主人のさわやかすぎる笑顔が、客を癒やす最高の“味付け”になっている。(山田淳史)
割烹一 堺市西区津久野町1丁5の6、TEL072・274・1257。営業時間は17〜23時(日曜・祝日定休)。「おまかせ御膳」(2人より、1人3990円)、「懐石御膳」(同、1人5770円)など。「男爵北海まんじゅう かにあんかけ」(850円)や「黒毛和牛 ハネシタあぶり焼」(1400円)など、ほぼ毎日更新されるメニューには、紙一面に長年の修業で培った単品がぎっしりと書かれている。
(2008年8月20日 16:30)

