社長ら10人業過容疑 JR福知山線脱線事故 兵庫県警 週明け送検前に説明
兵庫県尼崎市で平成17年4月に発生したJR福知山線脱線事故で、兵庫県警尼崎東署捜査本部がJR西日本の山崎正夫社長(65)ら10人を業務上過失致死傷容疑で書類送検する際の全容が5日、わかった。死亡した運転士を除く、JR西の歴代幹部9人に対する送検事実は、現場カーブへの自動列車停止装置(ATS)の未設置、日勤教育や過密ダイヤ編成に代表される不適切な安全管理など3通り。役職と在任期間に応じて適用し、それぞれに意見を付ける。当時の垣内剛社長(64)は含まれない。週明けにも書類送検する方針。
送検を前に県警では5日午前、死亡した乗客106人の遺族や562人の負傷者らを対象に送検内容についての説明を始めた。警察官が7日までの3日間で遺族の自宅などを訪問。負傷者には文書を郵送した。警察が送検前に、被害者に捜査結果の詳細な内容を伝えるのは極めて異例。
山崎社長の送検事実は鉄道本部長だった平成8年12月、現場カーブを半径600メートルから304メートルの急カーブに付け替えた際、ATSを設置せず、事故を防ぐ措置を怠った過失。山崎社長の前任の鉄道本部長、梅原利之・元JR四国社長(69)ら4人も同様の事実で送検する。捜査本部はこの5人について、刑事責任を問う余地はあるとして処分意見では「厳重処分」に次いで2番目に重い「相当処分」の意見を付ける。
徳岡研三・元鉄道本部長(61)ら2人は、15年9月に現場カーブへのATS設置が決定したにもかかわらず、事故当日までに工事を完了させず、事故を防げなかったとして送検。また徳岡元本部長については、他の2人とともに、懲罰的な日勤教育や余裕のないダイヤ編成で、高見隆二郎運転士=当時(23)=に過度の精神的プレッシャーを与えるなど、適切な安全管理を怠ったとの事実でも送検する。
これらについて捜査本部は、カーブ付け替えから約8年半の間事故が発生していなかったことから、徳岡元本部長ら事故当時の幹部は事故を予見できず、ATS設置工事の計画も妥当だったと判断。また日勤教育や過密ダイヤも、高見運転士が死亡し、心理面の立証が困難なことや、他の運転士や路線も同じ状況なのに同様の事故が発生していないことから、因果関係は薄いと結論付けた。
このためこれら2つの送検事実については、処分意見では最も軽く、起訴を求めない「しかるべき処分」の意見を付ける。
また高見運転士については、平成17年4月25日午前9時18分ごろ、制限速度時速70キロのカーブに約116キロで進入して電車を脱線させ、乗客106人を死亡、562人に重軽傷を負わせた疑いで送検する。
事故をめぐっては、複数の遺族が山崎社長らJR西幹部7人を告訴。捜査本部では、このほか梅原元JR四国社長と仲井徹元運輸部長(60)を送検対象とした。
(2008年9月 5日 14:00)


