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関西スーパーマーケット社長 井上 保さん(61) (4)社長就任

 平成14年6月に社長に就任しました。実は一度、就任要請を断っているのです。その2年前、私が専務の時でした。

 北野祐次社長(現会長)の意を受けた当時の副社長から「次を頼む」と言われ、「器ではありません。縁の下の力持ちの仕事が私には合っています」と答えました。遠慮したわけではなく、本心でした。

 ところが1年後、再び社長就任を要請されました。副社長に加え北野社長からも直接「頼む」と言われ、腹を決めました。

 創業者でカリスマ性のある北野社長の後を引き継ぐわけですから、プレッシャーは大きかったですね。やるからには徹底的にと考え、就任前に社の課題を洗い出したところ、何と30項目以上も見つかりました。

 赤字を垂れ流していたホームセンター事業、競争激化による本業の売り上げ低迷、財務体質の改善、人事制度改革ーなど、どれも喫緊の案件でした。

 本業のスーパーマーケット事業に集中するため、社長になると同時にホームセンターの閉鎖を決めました。また、売り上げ至上主義から利益重視へと経営方針を転換しました。

 目指したのは「戦う集団」です。安易に特売に頼るのではなく、顧客一人一人と向き合い、良い商品を常に安い価格で売る。簡単ではありませんが危機感を持って改革を行いました。

 一気に膿(うみ)を出したため17年3月期には最終赤字に転落しましたが、徹底した経費削減の効果もあり、その後は順調に回復しています。

 ただ、小売業界は今、かつてなく厳しい状況に置かれています。商品の仕入れ価格が上がる一方、景気低迷のため消費は大きく落ち込んでいます。食の安全、安心を脅かす事件が相次ぎ、消費者の不信感も高まっています。

 この時代をいかに生き抜くかー。やはり「良い商品をより安く売る」という基本を追求する以外に道はないと思います。鮮度や品質の向上、店舗業務の効率化など、まだやりたいことの3分の1もできていません。

 小売業は消費者と直に向かい合える素晴らしい仕事です。「おいしかったわ」という声を聞けるよう、これからも足元を見直しつつ歩んでいきたいと考えています。=おわり

(聞き手 竹岡伸晃)

 「いま、語る関西人国記」は隔週掲載です。次は11月17日~です。
 

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