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名門大洋フェリー社長 阿部 哲夫さん(64)(1)厳しい経営環境

燃料高 海上輸送にも支援を

 フェリー業界は非常に厳しい経営環境に置かれています。異常な燃料価格の高騰で、各社の総営業費用に占める燃料費比率が半分を超えるところもあり、経営を大きく圧迫しています。

 当社も、このままでは赤字決算になってしまいます。今年6月には、大阪フェリー協会加盟の有村産業(沖縄県那覇市)が破産に追い込まれました。他地域ですが、函館~青森間に昨年高速フェリーを就航させたばかりの東日本フェリー(北海道函館市)も、11月末で事業撤退を発表しています。

 平成20年度第2四半期の船舶用C重油1キロリットルの価格は9万円台に近づきましたが、これは4年前の3倍以上です。世界的な景気後退もあり、10月以降は6万円以下に下落することが予測されていますが、それでもまだかなり高い水準です。

 少しでも燃料消費量を削減するべく、減速運航や週末便の一部休航などの努力を続けていますが、これは結果的に、サービス低下になります。加えて、収支改善のために燃料価格の変動分を運賃に上乗せする燃料特別付加運賃(サーチャージ)制度を導入せざるを得ない状況ですので、当社も10月から今年3度目の値上げを実施しました。

 一般乗船客に加えて運送(トラック)業界へも燃料サーチャージを求めていますが、100%の転嫁は難しい環境にあります。コスト増が拡大すればフェリー離れにもつながって来ることは明白です。

 とくに、国の総合経済対策で高速道路のETC(ノンストップ料金収受システム)割引で総額1000億円の支援策が盛り込まれたことも、フェリー業界にとっては、今後大きな影響が出そうです。

 フェリーは大量の荷物を同時に運ぶことができ、国が進めるモーダルシフトの受け皿として最適の輸送システムです。トラック輸送に比べて二酸化炭素排出量は3分の1以下で、環境面からも大変優れています。

 それだけに、国にはフェリーを含む海上輸送業界に対しても、他の輸送手段同様の支援策をぜひとも検討願いたいと思っています。

(聞き手 真岸克治)

           

【プロフィル】 阿部哲夫

 あべ・てつお 昭和18年、神戸市生まれ。甲南大経営学部卒。41年バンドー化学入社。52年ケイハン入社。取締役を経て平成3年、名門大洋フェリー取締役、9年社長、15年から会長を務めていたが、今年6月から2度目の社長に就任。大阪フェリー協会会長、日本長距離フェリー協会労務部会長。


 

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