2009年1月21日
東大阪と蒲田 (3)海外への足場(上)
◆独ナノテク都市と試行錯誤
東大阪市を中心とする中小製造業経営者の訪問団がドイツ東部ザクセン州ドレスデンに到着したのは、昨年11月だった。
第二次世界大戦中に破壊され、10万個以上の破片を使って再建した聖母教会が名高い。一方、髪の毛の太さの約10万分の1という超微細な領域で勝負するも のづくり「ナノテクノロジー」など先端技術の都市でもある。ミュンヘンを本拠とし、ドイツ国内に57の研究所を持つ欧州最大の応用研究機関、フラウンホー ファー研究機構は11拠点がドレスデンに集まる。
訪問団の目的は、ドレスデンの研究所や企業に自社の技術を売り込むことだった。参加企 業は東大阪でナノテク関連製品の製造を行う「クラスターテクノロジー」やスポーツ用ゴーグルの「山本光学」、マイクロねじ検査装置の「ユタカ」など8社、 11人。埼玉県の企業も含まれている。
プレゼンテーションで各社は約20分ずつ得意の自社技術を説明し、その翌日に行われた個別商談は 25件にのぼった。事業提携に至った案件はまだないが、同行した日本貿易振興機構(ジェトロ)大阪本部のクン・トゥーレイン氏は「予定外の企業も商談を申 し入れてきた」と話す。
今年2月、今度はドレスデンの関係者が東大阪市を訪れ、ワークショップやプレゼンテーションを行う。これを契機に企業間の交渉はさらに進むとみられ、大阪産業振興機構の成瀬俊彦チーフコーディネーターは「5件は成約してほしい」と期待を寄せる。
■ ■
「東大阪の企業と交流したい」。ドイツ・ザクセン州経済振興公社からジェトロベルリンセンター経由で申し入れがあったのは、平成18年の年末だった。大阪府東部で14年から始まったナノテク関連ビジネスの取り組みに着目したのだ。
19年2月、東京で開かれた展示会「ナノテク2007」に出展するため訪日したドレスデンの研究者や企業関係者が、東大阪に立ち寄った。クラスターテクノロジーの安達稔社長を中心とする「大阪府東部ナノテクプロジェクト」のメンバーと会うためである。
その後、東大阪とドレスデンの交流は、日本と海外の産業集積地のお見合いを進めるジェトロの20年度「地域間交流支援(RIT)事業」に選ばれた。RIT 事業には精密機械産業の多い長野県諏訪地域とスイスの交流、北大阪地域とフランス・アルザス地方の創薬分野の交流をはじめ20年度に19件が進行してい る。
「日独間の企業でメリットを生み出したい」。商談相手になりそうな企業を見つけるため安達社長らは事前調査として19年度に2度訪独した。
英語の説明資料を携え、「御社のこの部分にうちのこの製品を使ったらどうですか」と具体的な提案も行ったが、反応は今ひとつだった。問題は言葉の壁だけではない。実際の製品がないため、イメージがわかなかったらしい。
この反省を踏まえ、訪問団のうち数人の経営者は、自社製品のサンプルを持参した。
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現地での交通費や通訳との契約費など、RIT事業で支援を受けられる期間は最長3年。大阪府東部とドレスデンの場合、21年度が最終年度の予定だ。
“卒業後”は参加企業が自ら努力しなければならない。だが、訪問団に加わった検査機器製造の「中央電機計器製作所」(大阪市都島区)はドイツ語の堪能な外 国人採用を決めるなど、手を打ち始めた。欧米、アジアに販路を持つ同社の畑野吉雄社長は、「日本企業と手を組めば『新たな展開が図れる』と考える外国企業 は多い」とみる。
国内企業同士のように、相互に技術を組み合わせて新製品をつくったり、顧客を紹介しあったりできるのか。東大阪とドレスデンの産業交流は、まだ入り口に立ったばかりだ。
(森田晶宏)
◇
東大阪で2月22日緊急シンポジウム
(2009年1月21日 14:15)
Category:がんばれ!!ものづくり日本
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