2009年3月 6日
僕は掃除機 森岡さくら 16 高校1年生 神戸市北区
僕は掃除機。19年目にして僕は瀕死(ひんし)の状態に陥った。家の旦那(だんな)様が誤って僕にハンカチを食べさせてしまったのだ。
旦那様は慌ててホースの部分に針金を入れてみた。だけどハンカチは僕ののどにつかえて出てこない。困った旦那様は庭に出て「遠心力だぁ」と僕をめちゃくちゃに振り回した。
しかし、それでもハンカチは引っかかったまま。今度は虫取り網の柄を突っ込んでぐいぐいやったが、それでもうまくいかず、とうとうハサミでジョギジョギと僕の口を切ってしまった。ハンカチは出てきけど、僕は20歳前にして無惨な姿になってしまった。哀れな僕の姿を見て奥様は金切り声を上げた。
「これは私の嫁入り道具なのよ!」「大丈夫だよ。こうやっておけば」
旦那様は僕の口を粘着テープでぐるぐる巻きにしてつなぎ、試すように僕を持ち上げた。すると僕の口は胴体からカポッと外れた。
「ああーっ!」
奥様のムンクの「叫び」のような顔。
旦那様は渋々インターネットで掃除機を見始めた。後ろで奥様は「値段によって妻への愛情の度合いが分かるんだからね」と言ってプレッシャーをかけ続けた。
結局、旦那様は一番高い掃除機を買われた。奥様にとって良き夫とは、より高性能の僕の仲間を買ってくれる人らしい。奥様はニコニコしている。僕はどうやら今日で引退のようだ。後輩が僕のような悲惨な目にあわないよう、心から願っている。
(2009年3月 6日 13:41)
タグ:僕は掃除機
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