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事業再建は「実行」が95% 矢嶋英敏氏 シンポin東大阪

矢嶋英敏氏 世界同時不況を克服しようと、各国が政策を総動員している。その効果は今年秋、必ず出ると私はみている。製造業にとって、今は来るべき景気回復に向けて「何をすべきか」を考える時期だ。それは、リスクをチャンスに変えることにつながる。

 具体的にいえば、環境に応じたスリムな経営体質をつくる▽事業の選択と集中を進め、強い事業をさらに強くする▽自社の強みを生かし、持てる技術資源を最大限生かして新規分野に進出する―ということ。実現への手段として、経営トップと現場が頻繁にコミュニケーションを図る▽トップ自ら「明るさ」を社内に発する▽トップが自信を持つ―という点が重要だ。

 私が平成10年に島津製作所社長に就任したとき、バブル崩壊とその後遺症で減収が続き、新製品も売り上げ増に貢献しなかった。在庫が積み上がって、キャッシュフロー(現金収支)は悪化。「いいものをつくれば売れる」という“技術神話”から脱却できず、損益面、財務面ともに苦境に立たされた。

 取引銀行や大株主の了解を得たうえで14年3月期に単体で約103億円の経常赤字を出したが、その後、1年半でなんとか立ち直ることができた。段階的に時間をかけて解決するより、「いっぺんに退治しよう」という決意が大切だと感じた。

 ただ、コストカットだけで会社は良くなるものではない。次の段階で会社をどうしていくか、明確なメッセージやビジョンを提示しなければならない。

 島津製作所の場合、半導体・フラットパネルディスプレー分野、環境ソリューション分野、ライフサイエンス分野の3つの事業に取り組んだ。

 事業再建は「計画は5%、実行が95%」だと思う。どんなに立派な計画を立てても、実行しなければどうにもならない。

 1人ひとりの社員が「自分のやっていることは将来にわたって会社のためになるか」と自問する必要がある。そうした文化が社内にあるか否かが、存続できる会社とそうでない会社の違いだと思う。

 やじま・ひでとし 昭和10年生まれ。東京都で育つ。慶應義塾大学文学部を卒業後、防衛庁(現防衛省)勤務を経て34年、日本航空機製造に入社。日本初の国産旅客機「YS-11」の国内外での販売にかかわった。52年、島津製作所入社。主に航空機器事業に携わり、常務、専務を経て平成10年社長。15年6月から会長。

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