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【夢を追う君たちへ アスリートからのメッセージ】 サッカー・神戸 宮本恒靖さん

文武両道のススメ 

 今年1月、ザルツブルク(オーストリア)からJリーグ神戸に移籍した元日本代表主将の宮本恒靖選手(32)。チームをまとめるキャプテンシー、インテリジェンス(知性)あふれるプレーが特徴だ。進学校の府立生野高校(大阪)に在籍しながら、U―17(17歳以下)世界選手権に出場するなど、文武両道を地でいく知性派は、どうやって生まれたのか、自身の体験を語ってもらった。

 子供のころからプロを目指していたわけではない。サッカーを始めたのも小学校にクラブができたのがきっかけ。「マラドーナ(現アルゼンチン代表監督)をみて面白そうだなというのがあったんです。やってみて自分に向いている感じがしました。ソフトボールもしていたんですが、違う充実感がありました」

 それもクラブ活動の枠を超えてのものではなかった。「もともと『サッカー選手なんかなれるわけない』という感じの家庭でしたし、自分としてはサッカーをしているから学校の勉強がおろそかになるのは嫌でした」。中学受験も経験した。中学2、3年生のころにようやく、社会人になって当時のJSL(日本サッカーリーグ)でプレーできればと考えるようになったという。

 数多くの代表選手を輩出しているG大阪ユースの1期生で3年間主将を務め、プロが身近となった後もサッカーだけに縛られることはなかった。G大阪のトップチーム入りとともに、同志社大学経済学部へ入学したのは「プロでやっていく自信もなかったですし、大学にいくのが普通の感覚でした。サッカーだけしか知らない人間にはなりたくなかった」からだ。

 サッカーを始めたときはFW、中学時代はMF、DFとなったのはG大阪ユースに入ってから。「技術が優れた選手もたくさんいましたし、自分が生き残っていけるかなと考えたときに壁に当たりました。いろんな中盤のポジションをやってうまくいかず、(DFの)スイーパーをやれといわれてやってみたら面白かった」。普通はポジションを変えられるのは嫌なものだが、「初めてなので戸惑いはありました。でも、何ができるかという期待感の方が大きかったですね」と振り返る。

 Jリーグの下部組織の選手といっても、最初から技術が高かったわけでもない。「ユースに入ったときは下手な部類だったと思います。そのときに言われたのは『サッカーはボールを止めて、けるスポーツだ』と。そういうところを徹底的に鍛えられ、今の自分のベースになっている」という。

 また、宮本選手は「人の話を聞く素直さとか、それを自分なりにかみ砕いてどう行動に移していくか、というところはすごく大事」と強調する。支えてきたのは常にポジティブに考える姿勢だ。

 ザルツブルク在籍時代の2008年1月に太ももを痛めて長期離脱した際も、「ケガする前より絶対いい選手なって戻ってくる」との気持ちでリハビリに励んだ。

 「そのときどきに何をしたらいいのかな、面白いかな、というのを考えながらきたらこうなりました。プロとして一流の人たちは人間としても素晴らしい。いろんなことに積極的にトライしてもらいたいし、スポーツでも勉強でもいろんなものに興味を持ってもらいたい。何かこれは自分が得意だな、自分はこれをやっていて心地いいなと感じるものをみつけ、それを自信にしてもらいたいですね」

(北川信行)

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