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元禄産業社長 白石博志さん(59)(4)のれんを守る

安くておいしい」を追求

 回転ずし「元禄寿司」の道頓堀店店長となった私は、繁盛していた現状に満足せず、売り上げをさらに伸ばすことを目指しました。そのためには腕は良いが荒っぽい職人たちの心をつかむ必要があります。「待遇向上で働きに報いよう」と考え、毎月の売上高に応じて、給料を上げる歩合制を店独自で導入しました。

 これは効果的でしたね。みなの目の色が変わり、「もっと長く営業しよう。客を呼び込もう」と積極的になりました。結局、2年間で売上高を約2倍にすることに成功しました。

 その後、本社に戻り、魚や米の買い付け、当時は手がけていたフランチャイズチェーン店の経営指導などを担当しました。買い付けではノルウェー、チリ、タイなど現地に出向き、魚や養殖設備を直接見て確かめ、経営者の人柄や考え方に触れて取引を判断しました。

 決断するまでは慎重ですが、一度取引が始まれば長く付き合うというのが、創業者である父親(義明さん)から受け継いだ方針です。父親は口癖のように「自分だけが、いっぺんにもうけるな。牛のよだれのようにコツコツともうけろ」と言っていました。浮沈の激しい飲食業界で店が50年以上続いているのは、この言葉を実践してきた結果だと考えています。

 平成9年7月、社長に就任しました。すでに父親は80歳を超えており、経営を引き継ぐ覚悟はできていましたが、責任やのれんの重さを両肩にずしっと感じましたね。

 社長になって最初に取り組んだのは、フランチャイズチェーン事業の終了です。チェーン店の中には業績が悪かったり、接客態度や商品内容が思わしくないところもあり、のれんを守るために決断しました。回転ずしは生ネタを扱うので、品質管理には細心の注意が必要です。目の届く規模の店舗数を直営で運営するという現在の経営スタイルがやはり適しています。

 世界的な不況の中、消費者はかつてなく価格に敏感になっています。われわれには“追い風”が吹いていますが、「商い」は「飽きない」工夫が大切です。魚の種類は限られていますが、年間20種類程度は新商品を出すよう努めています。

 すしの大衆化において、回転ずしが果たした役割は非常に大きいと自負しています。これからも「安くておいしい」を追求し続けたいですね。=おわり

 (聞き手 竹岡伸晃)

         ◇

「いま、語る関西人国記」は隔週連載です。次回は5月25日~です。

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