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きもの復活 田中和美 53 主婦 大阪市住吉区

 「着る着る。これやったら私着るわ」

 来年、成人式を控えた姪(めい)が笑顔で叫んだ。

 わが家には娘がおらず息子が3人。日の目を見ることはないと、うん十年もタンスにしまい込んでいた私の振り袖である。クリーム色の地にグリーンの柄。今の流行のものとは色も図柄もまったく違っているが、姪にはそれがかえって新鮮であったのかもしれない。

 妹は振り袖代が助かったというし、着物にとっても着てもらえ、晴れやかな写真を撮ってもらえるのだから、きっと喜ぶに違いない。

 数日後、今度は知人から、亡くなった夫の着物をもらってもらえないかとのお話。私の主人は5年ほど前からお茶を習っている。昨年は亭主を務めたこともあり、義母が結婚のときに作ってくれた大島紬(つむぎ)の着物だけでは、とはかまだけ買い足してしのいできた。

 大喜びで風呂敷を手に知人宅にうかがった。ほとんど手を通されていない高級な着物とはかま。

 「ありがたくちょうだいして着させていただきます」

 さっそく、いただいた着物を入れようと、和だんすの着物を一枚一枚広げ、虫干しをする。ふと、紺の絽(ろ)の着物に目がとまった。義母が私たちの結納の時に新調したのよ、と言っていた着物だ。形見分けでいただいたのをしまい込んでいた。

 そうだ、今夏はきっとこの着物を着よう。そして義母が好きだった俳画の個展に出かけることにしよう。

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