2009年5月25日
きもの復活 田中和美 53 主婦 大阪市住吉区
「着る着る。これやったら私着るわ」
来年、成人式を控えた姪(めい)が笑顔で叫んだ。
わが家には娘がおらず息子が3人。日の目を見ることはないと、うん十年もタンスにしまい込んでいた私の振り袖である。クリーム色の地にグリーンの柄。今の流行のものとは色も図柄もまったく違っているが、姪にはそれがかえって新鮮であったのかもしれない。
妹は振り袖代が助かったというし、着物にとっても着てもらえ、晴れやかな写真を撮ってもらえるのだから、きっと喜ぶに違いない。
数日後、今度は知人から、亡くなった夫の着物をもらってもらえないかとのお話。私の主人は5年ほど前からお茶を習っている。昨年は亭主を務めたこともあり、義母が結婚のときに作ってくれた大島紬(つむぎ)の着物だけでは、とはかまだけ買い足してしのいできた。
大喜びで風呂敷を手に知人宅にうかがった。ほとんど手を通されていない高級な着物とはかま。
「ありがたくちょうだいして着させていただきます」
さっそく、いただいた着物を入れようと、和だんすの着物を一枚一枚広げ、虫干しをする。ふと、紺の絽(ろ)の着物に目がとまった。義母が私たちの結納の時に新調したのよ、と言っていた着物だ。形見分けでいただいたのをしまい込んでいた。
そうだ、今夏はきっとこの着物を着よう。そして義母が好きだった俳画の個展に出かけることにしよう。
(2009年5月25日 12:33)
Category:夕焼けエッセー
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