2009年6月18日
証人 下村善博 75 大阪府大阪狭山市
足で相手の胸をけった、という暴行事件の裁判で、現場にいた私は、検察側証人として裁判所に呼び出された。
最初に宣誓をさせられた。それは真実を述べ、うそや付け足しをしないこと。
これが後に重しになった。
検察側の質問にはスラスラ答えたが、被告側というか暴力をふるった側の弁護士の質問は、夢想だにしなかったものでびっくりした。
「けったのは左足か右足か」
一瞬考えたが、左足だったのか右足だったのか、はっきりしない。うそをつかないと宣誓していることが頭をよぎり、偽証になったらあかんと思い、
「瞬間のことで左足か右足かまではわからないが、足が飛んだことは間違いがない」と証言した。
「証人は左足か右足か分からないと言った。ということは見ていないということ」と質問した弁護士は発言し、「質問はこれで終わります」と言って着席し、私は発言する機会を与えられなかったのである。
終わってから控室で検事が「左足か右足か、どちらかはっきり言ってほしかった」。「最初に宣誓しているので間違ったら偽証罪になると思ったので」というと、検事は「偽証にはならない。自分はそう思った、といえばよいのである」とのこと。申し訳ない、と謝りながら心の中で「なんで謝るのか」と思ったものである。
暴行があったかどうかの審理ではなく、法理屈が支配する世界で、有罪の者が無罪になることもある。
ところで事実、この件、無罪であった。
(2009年6月18日 14:22)
Category:夕焼けエッセー
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