2009年7月12日
知と技のコラボ 関西情報サロン 第4回会合21日開催
産経新聞社が4月から開始した「がんばれ!!ものづくり日本 関西情報サロン」をきっかけとした企業、大学の連携の輪が広がっている。エコカーの開発に力を入れる大阪産業大学と大阪市の関連団体、ロボットラボラトリーが、電気自動車とロボットテクノロジー(RT)の親和性に着目し、両方の技術を融合した新たな自動車産業の創出を目指して協業を始めたほか、参加企業同士で、新規ビジネスを模索する動きもでている。21日に開催する第4回会合では、この流れを加速するため、タカコの石崎義公会長が、中小企業の受注力強化にむけた連携構想を打ち出す。
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新たな自動車産業創出へ
「関西には電池や素材の産業が集積している。電気自動車の時代が来れば、これらの産業の相乗効果で、米シリコンバレーのように数多くの電気自動車関連のベンチャーが生まれる可能性がある」
関西情報サロンの連動企画として6月10日に、大阪産業大学・中央キャンパス(大阪府大東市)で開かれたエコカー見学会。同大学が開発した6台の電気自動車や燃料電池車を前に、山田修副学長(第2回サロン講師)は、約40人の参加者に熱く語りかけた。
部品点数が数万点にのぼり、高度な鋳鍛造設備や組み立て技術が必要なガソリンエンジン車と異なり、モーターとバッテリーが動力となる電気自動車は、ガソリンエンジン車の数分の1程度の部品で製造でき、構造も複雑でないという特徴を持っている。
自動車産業に新規参入する障壁は格段に低くなることが予想され、ものづくり中小企業にとって大きなビジネスチャンスとなる。
この電気自動車の可能性に着目しているのが、次世代ロボット開発ネットワーク「RooBO」の事務局を運営するなどロボット、RTを活用した産業創出に取り組む大阪市のロボットラボラトリーだ。「RooBO」の足立尚樹クラスターマネージャーは「RTと電気自動車が、互いの技術を融合すれば、革新的な製品が誕生する可能性がある。『車の形をした移動ロボット』という視点で開発することで、高度な情報処理能力を備えた『スマートカー』を作り出せるかもしれない」と指摘する。
足立氏が関西情報サロンに参加し、山田副学長と交流を深めたことをきっかけに、ロボットラボラトリー主催で「RTを組み込んだ電気自動車の開発」をテーマとした研究会を立ち上げる計画が浮上している。
関西では、大阪府が6月中旬にオール大阪で電気自動車の普及を目指す「大阪EVアクション協議会」を設立するなど産業化に向けた機運が盛り上がりつつある。「今後、電気自動車の開発に意欲を持つ企業、大学の参加を募りながら近い将来、米国のテスラ・モーターズを超えるようなベンチャー企業の設立につなげていきたい」と山田副学長は夢を膨らませる。
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ほかにも関西情報サロンに参加した企業の間で、さまざまな連携の輪が広がっている。照明器具の組み立て加工に加え、米、ぶどうなどの生産、販売にも力を入れる南鉱製作所(大阪府寝屋川市)の山内祐二社長は「サロンを通して新事業を考える中で、貴重なアドバイスを受けることができた」と話す。
山内社長は、殺菌などに効果のあるオゾンナノバブル水の研究に取り組んでおり、ナノテクノロジー(超微細加工技術)に強みを持つクラスターテクノロジー(東大阪市)の安達稔社長(第1回サロン講師)とサロンで知り合えたことから相談。安達社長からオゾンを農業、水産業に活用する事業を成功させるために必要な技術やビジネスモデルのポイントについて実例を交えながら指導してもらった。
建材をネットで販売する新たなビジネスモデルを打ち出しているサンワカンパニーの山根幸治社長(第2回サロン講師)にも、サロンで知り合った企業から販売でのネットの効果的な使い方など、さまざまな相談が寄せられている。
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企業連携し受注力強化を タカコ会長 石崎 義公さん
精密機械部品メーカーのタカコ(京都府精華町)は高圧ポンプのユニットで世界シェア75%を誇る。大阪・八尾の町工場からスタートし、一代で売上高100億円の企業に成長させた創業者の石崎義公会長は、ものづくり中小企業が勝ち残るには、工程ごとに技術力を持った企業が「ものづくりの輪」を結んで加工の技術力と生産力を高め、受注力を強化する必要があると訴えている。
昨年のリーマン・ショックに端を発した世界景気の悪化で日本のものづくり企業は大きなダメージを受けた。石崎会長は「ただでさえ、大企業が生産拠点を海外に移し、中小企業にまわる仕事は減り、担い手不足もあって廃業する企業が急増している。企業が無くなれば、その技術は後世に伝わらず、日本の国力の衰退につながる。中小企業に活力をもたらすには、海外から仕事を引っ張ってこられるように受注力を強化することが必要だ」と強調する。
36年前、当時29歳の石崎会長が起業したとき、国内メーカーは従業員が少ないことや実績がないことを理由に取引してくれなかった。事業を存続するか、廃業するか。決断を迫られたときに目を向けたのが海外市場だった。
「経済はグローバル化しており、世界市場を視野に入れなければ、生き残っていけない」
石崎会長はこう話した上で「だが、国内でも特に関西の企業は鍛造、ダイキャスト、切削加工、研磨、溶接、表面処理、塗装、熱処理といった各工程の一部しか手がけていない企業が多く、海外から発注しようと思っても手が出せない。完成品として売り出していないため、技術力があるのに知られていない企業も多い。大企業の下請けではなく、各工程を手がける企業が水平的に連携すべきだ」と説く。
石崎会長は、大規模な生産設備をそろえることが難しかった創業時、近隣の中小企業に工程ごとに仕事を発注し、完成品として仕上げて取引先に納入するというモデルで受注を伸ばしていった経験を持っている。
「現在、さまざまな地域で、中小企業のネットワーク組織が動いているが、連携による仕事は主ではなく従になっているケースが多いと聞く。恒常的にセールス活動して受注し、企業に仕事を割り振った上で、納品まで責任を持つ組織が必要だ。例えば、公的支援も受けながら発注先が安心できる一定規模の会社を設立すればおもしろい」
石崎会長は、この組織に参加する企業は少ないリスクで事業を拡大できるとみる。「参加企業を増やせば、より多品種の生産にも対応できるようになる。大企業があまり手を出さない月あたり5千縲怩P万個程度の中ロットの市場に商機がある。幅広く呼びかけを行っていけば実現できるのではないか」
いしざき・よしとも 昭和48年タカコ精機(現タカコ)を設立し、社長に就任。一代で、売上高100億円の精密機械部品メーカーに育て上げる。平成19年6月、会長に就任。地域基盤技術継承プラザ理事長などを務め、中小企業活性化のための提言活動に力を入れている。滋賀県出身。65歳。
(2009年7月12日 09:31)
タグ:がんばれ!!ものづくり日本, 知と技のコラボ, 関西情報サロン
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