2009年11月16日
【産創館レポート】半歩先へ クリーニングに新サービス
「シリコーン」という環境に優しい溶剤を使ったドライクリーニングを始めた会社がある。大阪市西淀川区に本社を置く丸富だ。シリコーンは化粧品などにも使用されている安全な溶剤で、人体への影響や環境汚染の心配がない。
同社はこれまでも業界に先駆けて“即日仕上げ”“無人化店舗の営業““個別洗浄”“抗菌加工”“銀イオン洗浄”などを行ってきたが、「業界全体が縮小傾向のなか、同業他社との競争ではなく、お客さまの声に耳を傾けて顧客の未知のニーズを敏感に感じ取り、半歩先を行くサービスを常に提供していくことが大切」と田村義昭社長は語る。
そのためには、まず社内体制の構築と日々の業務改善が必要だった。そこで田村社長は工場にトヨタ生産方式を取り入れ、作業の平準化と標準化を推進した。日々の仕事量にバラツキが生じては品質が安定しないからだという。これまで仕上げ作業には熟練した職人技が必要で、技術習得には10年はかかるといわれていた。
しかし、アパレル業界で使用されている人体型整形機や、袖や襟などの各パーツ専用のプレス機を導入するなど専門性の高い設備投資を行うことにより、誰でも職人と同等の仕上げを可能にした。
一部の職人からは「自分の仕事を奪うのか!」などの誤解も受けたが、業務改善は従業員の雇用を守ることにつながるとの信念から改革を進めた。今では社長の方針を理解し、お客さまにとっての最適なサービスを自ら考える従業員も増えている。
毎年、新年度にパート、アルバイトも含めて全従業員が参加して行う新年互例会では、田村社長から業績報告や新年度の方針発表、優秀者への表彰や各部門責任者からも抱負の発表を行うことで社内の意思統一を図っている。さらにアルバイトから社員への「チャレンジ応募制度」や受付の能力向上を目指した「受付接遇検定試験」などを開始するなど社員のモチベーション向上にも力を入れている。
「現在、衣料品メーカーによる新素材の開発や家庭用洗濯機、洗剤の開発が進むなかで、クリーニング業務の存在意義を含めてサービスの内容を大きく変えていかなければならない」と田村社長は言う。
今後、どのような新サービスの展開を行っていくのか同社に注目したい。
(大阪産業創造館プランナー 齋藤考宏)
(2009年11月16日 10:26)
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