2009年12月28日
【南大阪連携 6大学の挑戦 大学を地域の知の拠点へ】<5>
市民が主役 生涯学習プロジェクト

「みなさんなら街の課題をどう改善できるのか。単に行政を批判するのではなく、まずそれを考えてみましょう」
プール学院大学国際文化学部の松田浩志教授が問いかけると、受講者が企画書に思い思いの提案を書き込んでいく。「魅力ある街づくり」「レジ袋を使わずエコバッグを使う」「人とのふれあい」…。どれも生活に密着したテーマが並んだ。
今年8月、大阪府堺市の「さかい新事業創造センター」で開かれた自治体連携型生涯学習「実践力育成講座」の光景だ。プール学院大学など南大阪の6大学による「戦略的大学連携支援事業」が地域のさまざまな課題の解決に貢献できる人材を育成しようと、主に社会人を対象に無料で開催。堺市と連携した4日間にわたる夏期集中講座でテーマは「NGO・NPO論」(入門編)と「非営利組織経営特論」(上級編)。入門、上級編合わせ、23人の市民や大学生が参加した。
“生涯学習”は連携支援プロジェクトの4つの柱のうちのひとつだ。受講者は今後、「子育て支援」「老人福祉論」など6大学で開かれる専門・教養講座を一定時間受講すれば、修了認定証が授与されるほか、本プロジェクトの人材ネットワークにも登録され、地域社会のさまざまなNPO活動や市民活動に参加する機会が開かれるという。
参加者の多くがすでに子育てを終え、第二の人生を歩み始めた世代だ。堺市の杉若修さん(69)は「NPOの本来の目的が社会のミッション(使命)にあるということがよく分かりました」。長谷川功さん(65)も「今回の参加を機になんらかのNPO活動に参加し、行政とのパイプ役になってみたい」。また、廃食油をバイオ燃料に役立てるNPO法人に参加している西川都代美さん(58)は「NPO活動に参加していても分からないことが多く、いろいろな疑問が解消できた。こういう機会を提供してもらい、たいへん感謝しています」と話した。
一方、行政側もこの取り組みに寄せる期待は大きい。堺市企画部の和田綾子主査は「6大学が地域貢献の一環として各講座を一般市民の方々に開講していただくのはたいへん意義深く、行政としても今後いろいろな面で協力していきたい」という。
生涯学習委員会の代表を務める松田教授は「行政に参画するという市民の意識を養い、自ら問題を解決できる力を身に付けていってほしい。また、学生が参加することで異なる世代間の問題共有にも役立つはず。こうした講座を市民活動の拠点につなげていきたい」と話している。
【用語解説】南大阪地域6大学連携プロジェクト
社会に出ても通用する高度な実践力のある人材を育成しようと、南大阪地域にある桃山学院大学、大阪府立大学、大阪大谷大学、帝塚山学院大学、羽衣国際大学、プール学院大学が今年度からスタートさせた共同事業。2008年、文科省の「戦略的大学連携支援事業」に選ばれている。
【写真説明】「さかい新事業創造センター」で開かれた「実践力育成講座」。老若男女の市民が参加した
(2009年12月28日 09:05)
Category:教育
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