2010年1月18日
【産創館レポート】懐かしい、温かい、安らげる飲食店街
大阪のへそ、船場センタービルの10号館に、味とのれん(伝統)にこだわり、通い(常連)を大切にする飲食店街があるのをご存じだろうか。
どこか懐かしく、和の安らぎを感じることができる「船場女将小路」である。私も女将の文字に誘われてのれんをくぐったが、看板に偽りなし。威勢のいい女性が出迎えてくれ、「大阪もん漁師料理 空」では、箕面の地ビール、大阪湾で獲れた魚、なにわの伝統野菜が器を彩る。
加えて、グラスは大阪の錫(すず)器、箸(はし)は唐木、店員さんは注染のてぬぐいを締めて、堺の包丁を使うなど大阪の伝統工芸にも同時に触れ合える。この小路を企画運営するのは有限会社ティケイ企画(大阪市西区)。飲食事業に辣腕(らつわん)をふるう今井豊さんは元銀行マン。
顧客が借入をし、飲食店を開業するも、孤独な戦いの中バタバタと倒れていく姿を目の当たりにして、「意欲のある事業者が何とか小資金で独立開業するための支援ができないか」と船場女将小路立ち上げを決意した。
各店舗の運営は、同社が委託する形態をとり、内装設備一式を貸与。そうすることでアドバイスだけでなく、共に運営することが可能となった。今では居酒屋が長屋のように身を寄せ合い、時に競争しながら、時に助け合いながら商売をするという補完関係は、心と経営の安定化を促し、ひいてはサービスの向上にひと役買っている。
今後も委託店の比率を増やす予定で、直営店で培った顧客、設備、ノウハウなどを惜しむことなく提供していくそうだ。「女性の力で船場から大阪を元気に!」というのが当初から一貫したスローガン。「おかえりなさい」と笑顔で迎えてくれる女将たちに癒やされるサラリーマンも多くなってきた。
船場が伝統的に大切にしてきた「おもてなし文化」は今も息づいている。温かいおもてなしは付加価値となり、価格競争という消耗戦からの脱却になる。「今後は同様のスタイルを他地域でも展開したい」と語る今井さん。商店街、町おこしの力になるだろう。さて、私のアフターファイブも忙しくなりそうだ。(大阪産業創造館プランナー 竹内心作)
(2010年1月18日 09:49)
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