2010年2月14日
【がんばれ!!ものづくり日本】知と技のコラボ「関西EV元年に正念場」
関西の中堅・中小のものづくり企業を応援するため、昨年4月から原則、月1回のペースで開催している産経新聞社の「がんばれ!!ものづくり日本 関西情報サロン」。講師をつとめた企業経営者や研究者は不況に立ち向かい、新規事業の創出に意欲をみせる。環境にやさしい次世代カーとして注目を集める電気自動車(EV)をめぐり、第2回会合(昨年5月)講師の山田修・大阪産業大学副学長と第8回会合(今年1月)講師の小倉庸敬・淀川製作所社長が、それぞれ、今年を“関西EV元年”と位置付け、事業化に向けたプロジェクトを進めている。「技術と意欲を持った企業と連携し、関西だからこそできるEV関連の事業化を進めたい。国際競争に勝ち抜くには、考えるよりもまず実行することが必要ではないか」
山田副学長は、大阪産業大学が蓄積してきたEVの製造技術をベースに、大阪市の関連団体、ロボットラボラトリーと共催で、EVの構造の知識や製造ノウハウ、要素技術を身につけてもらうための実車製造講座を開講しようとしている。対象はものづくり中小企業の経営者や技術者だ。昨年10月には、EVを「新タイプの移動ロボット」と考え、電池、センサーなどの関連技術やEV産業の最新情報を提供する4回の講座を開催し、約50人の経営者や技術者が参加した。
参加企業、大学の動き支援 関西情報サロン
「EVはガソリンエンジン車と比較して使用する部品が少なく、構造も複雑でないことから、中小企業が新規参入を図る上で有望な産業分野だと思う」と山田副学長は話す。
一連の講座を通じて、EVに関心を持つ企業を発掘し、それぞれの企業の強みを生かした連携で事業化を図ろうと考えている。今後の課題は、充電時間の短縮や航続距離を延ばすための電池容量の拡大、コストダウン、充電器の普及、安全性の向上などで、これらの中にビジネスチャンスが眠っているといえる。
大手電機メーカーのパナソニック、三洋電機の企業城下町として、電機関係の中小企業が集積する大阪の門真、守口エリア。ここで今、町工場発のEVを製造するプロジェクトが進んでいる。淀川製作所(大阪府守口市)の小倉社長が中心となって取り組む「あっぱれEVプロジェクト」だ。
地域の活性化に結び付けようと、大手メーカーとは異なる視点で、デザインを重視した小型EVを自主開発。試作品製造などで培ってきた技術を活用し、すべて手作りにこだわることで、EV製造のノウハウを蓄積し、次のビジネスにつなげるねらいがある。
小倉社長は「EVに大きな可能性を感じている。全国の中小企業がやる気を出すことで、日本のさまざまな地域でご当地EVが走り回るようになればおもしろい」と夢を膨らませる。
関西ではそれ以外でも、中小企業やベンチャー企業がさまざまな動きをみせている。
カセット式のリチウムイオン電池や小型の一人乗りEVを開発、販売しているのが京都EV開発(京都府城陽市)。「あっぱれEVプロジェクト」への協力のほか、関西文化学術研究都市を舞台にEVの普及を図るため、ゴミ収集用EVを開発して関西文化学術研究都市推進機構にレンタルするなど複数の事業に取り組んでいる。
自動車整備工場を営む企業などで構成するNPO(特定非営利活動法人)「日本自動車公正検定協会(NAFCA)」は、韓国のEV開発ベンチャー、CT&Tが生産したEVを輸入、販売する。NAFCAに加盟する近畿オート(京都市南区)の中村斉社長は「近所への買い物や駅への送り迎えといったセカンドカーとして最適な性能を持っている。販売するだけでなく、メンテナンスも請け負うことで新しい収益モデルを作りたい」と話す。
だが、EVを量産するには国土交通省の型式認定を受ける必要があるなど新規参入企業が自動車メーカーとして認めてもらうまでのハードルは高い。新たなビジネスモデルを作り、EV関連産業を育てることができるのか。関西のものづくり企業による起業家精神が試されている。
実のある異種企業連携を
クラスターテクノロジー 安達稔社長に聞く
中小企業の支援を目的に昨年4月にスタートした「がんばれ!!ものづくり日本 関西情報サロン」。今後、関西の中小企業、産業の活性化のためにできることは何なのか。第1回の会合で講師をつとめたクラスターテクノロジー(東大阪市)の安達稔社長=写真=に、関西情報サロンの意義について聞いた。
――関西情報サロンの意義をどう考える
「一つの企業だけではできないことを可能にする企業間連携を実現する点で大きな機会を提供してくれている。異業種の人たちが集まり、情報を交換したり、共有したりし、同じ目的意識を持って進まなければ異種技術融合によるイノベーション(技術革新)は創生できない。企業が関西情報サロンをいかに活用していくかが大事だ」
――中小企業が今、直面している課題は
「何よりも大きな課題は下請け体質を脱却できるかどうか。そのために必要な事業領域の拡大に単独で取り組むことは体力的に厳しく、連携でものづくりに取り組んでいくことが必要だ。わが社はナノテクノロジー(超微細加工技術)・材料分野を中心に技術を確立しているが、もっと早くから連携に取り組んでいればと思っている。そうすれば、開発時期を早めることができた製品がかなりあった」
――国内市場は縮小が続くなか、どのような成長戦略を描くべきか
「グローバル化がテーマになる。東大阪とドイツ・ザクセン州の企業との地域間交流事業に取り組んで分かったことなのだが、ドイツのものづくり中小企業も日本の中小企業と同じような難題に直面している。新興国で安い人件費を活用してものづくりに取り組む道があるのも事実だが、国内に生産拠点を置いた上で海外の企業とパートナーシップを結び、中枢機能デバイスを提供することで共に新興国の市場を開拓していくという姿勢が必要だ」
――これからの関西情報サロンに求めたいことは
「技術の融合、海外市場の開拓、具体的な新事業につなげる道筋などをテーマにしていけばいいのではないか。徐々に実績が生まれているのは事実だが、現状で満足しないでほしい。これまでの成果を土台に、いかに実のある異種企業連携を生み出していけるか。この点を期待したい」
(2010年2月14日 05:00)
タグ:がんばれ!!ものづくり日本, ロボットラボラトリー, 大阪産業大, 関西情報サロン, 電気自動車, EV
Category:がんばれ!!ものづくり日本, ビジネス, 当番のオススメ, 知と技のコラボ
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