産経関西(産経新聞大阪本社公式ニュースサイト)

予備校が社会体験講座 河合塾、大阪市大医学部と連携

医進コース必須カリキュラム 参加者から満足度高い感想

聴診器を手にシミュレーターの呼吸音を聞く受講生たち

 将来のキャリア形成に早い段階から備えてもらうため、入試の合格者を対象に行われる「入学前教育」。いまや多くの大学や短大で導入されているこの取り組みが予備校にも広がり始めている。河合塾は大阪市立大学医学部と連携し、医師を目指す受講生に医療現場の実務を体験してもらう特別講座をスタートさせた。「医師を目指すモチベーションが高まった」と満足度も高く、予備校による社会教育の実践例として注目を集めそうだ。

 近畿地区の河合塾で始まったのは、特別講座「大阪市大医学部 スキルスシミュレーションセンター医療体験講習」。同校ではこれまで社会体験学習の一環として弁護士らに裁判実務などを講義してもらう特別講座を定期的に開いており、今回新たに大学受験科医進コースの受講生を対象にこの講座を開設した。昨年5月から4カ月間、毎回約20人が参加し、大阪市大医学部のスキルスシミュレーションセンター(大阪市阿倍野区)で2時間の医療体験講習を受けた。

 スキルスシミュレーションセンターは医療現場で必要になるさまざまな技術を模擬体験できる施設。先進的な医療教育が行われている米国で具体事例を学んだ大阪市大医学研究科の首藤太一准教授が中心となって2007年夏に開設された。医師、研修医、看護師、医学生はもちろん、一般人も有料で参加できるのが特徴で、毎年約7000人が利用している。

 特別講義では、受講生たちが同大医学部の研修医や学生の指導を受けながら、シミュレーターを使って採血や心音などを調べる聴診、超音波画像診断の手順を模擬体験。参加者からは「医学の勉強以外にも、身につけなければならないことがあることを実感した」「医者になるという気持ちを改めて確認することができた」「自分の夢に具体的なビジョンが生まれた」など、満足度の高い感想が寄せられたという。同校では特別講座を医進コース受講者の必須カリキュラムに組み入れ、今後も続けていく方針だ。

 講座の狙いについて、河合塾大阪校医進館の藤田真由美さんは「優秀な受講生の多くが医学部を目指す傾向にあるのは事実ですが、単に受験の知識のみならず、将来患者目線に立った医師になってもらうためのきっかけづくりになれば」という。

 また、スキルスシミュレーションセンターの副センター長を務める首藤准教授は「医学部に入ってくる学生は確かに頭がいい半面、他人とうまくコミュニケーションが取れないなど“人間力”の弱い若者が増えているのも近年の特徴。医師に求められるのは決して、医療技術や知識だけではありません。この体験を通じて、常に人間と向き合っていくというプロ意識に目覚めてもらうだけでも大きな意味がある」と話している。


【写真説明】聴診器を手にシミュレーターの呼吸音を聞く受講生たち

前の記事:【雄弁熱弁】関西福祉科学大学 学長 江端源治さん »

後の記事:1万8387人"15の春" 公立高前期合格発表 »

ホーム