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【知と技のコラボ】活力引き出す支援目白押し

 独立行政法人や公益団体による関西の製造業の販路開拓、新分野の進出を支援するさまざまなプロジェクトが進行している。高い技術を保有しているにもかかわらず、厳しい経営環境に置かれている企業の潜在力を引き出し、成長に結び付けるにはどうすればよいのか。プロジェクトの担当者は、ものづくりを通じて関西の活性化を図るため懸命に取り組んでいる。

ものづくり活性化に知恵しぼる各団体

 ◆チームKANSAI

 中小企業基盤整備機構近畿支部が4月から本格展開するのが、関西の大企業や金融機関、大学・研究機関、マスメディアと連携し、中小企業に対する“地域まるごとの応援団”として機能させる「チームKANSAI」プロジェクトだ。

 「関西には産業基盤が集積している。そのポテンシャル(潜在能力)を生かすことにより、中小企業の活力を自然な形で引き出していきたい」と中小機構の中島康明・経営支援プラザ担当課長は、狙いについて話す。

 プロジェクトのうち大阪市信用金庫などの金融機関や大企業と連携して実施するのが、マッチングの成約率を高めるために事前準備とフォローを重視する「信金PLUS+」(しんきんプラス)事業だ。

 これまでも大企業と中小企業のビジネスマッチングは、自治体が仲介役となって行われてきた。だが、時間的制約がある上に、大企業が求める技術と中小企業が保有する技術で隔たりがあるケースが多く、成約に結びつく件数は少なかったという。

 信金PLUS+事業では、その問題点を解決するために金融機関が所有する企業のデータを活用し、マッチング前に大企業が求める技術や製品開発力を備えた中小企業をあらかじめピックアップ。結果的に成約に至らなくても、中小機構が相談員を継続的に派遣するなどして後日、受注を獲得できるよう企業を支援する。

 それ以外にも、大阪証券取引所、ベンチャー投資に取り組む大阪中小企業投資育成と連携し、大証の新興市場ヘラクレスに上場する企業と中小企業を結びつけるマッチングイベントを定期的に開催することを計画。また、海外市場に関心を持つ中小企業の販路開拓や情報発信を支援する取り組みを滋賀県で開始するほか、海外のテレビ局と提携した関西の地域情報の発信事業も進める。

 ◆医療機器産業の育成

 日本企業の技術力を生かした新しいものづくりの分野として注目を集める医療機器産業。その活性化を目指して大阪商工会議所が平成15年7月から始めた「次世代医療システム産業化フォーラム」が大きな成果を生み出している。

 大商は月1回程度のペースで、医療機器に関する最新の情報や医療関係者が製品化のために必要としている技術を紹介する定例研究会と、研究会の参加者らを対象にしたマッチング会を開催。成約率が高まるよう情報提供とマッチングをセットで行うのが特徴で、参加企業159社、参加機関60機関にのぼる国内最大級の医療、バイオ機器開発のネットワークに育てた。

 これまで医療機関、大学や研究機関と企業の間で共同開発が検討された案件は244件にのぼり、そのうち80件が事業化、もしくは事業化に向けて動き出している。異分野から医療機器の開発に参入する中小のものづくり企業も増えているという。

 2月には大阪市内で医療機器分野の国内外企業、大学、研究機関のビジネスマッチングを目指す大規模な国際フォーラムを開催した。22年度は、従来以上にアメリカやドイツの医療機器産業先進エリアとの連携強化を考えており、現地視察や医療機器分野の展示会の参加を積極的に行うことを考えている。

 大商ライフサイエンス振興担当の槇山愛湖課長は「世界規模で今後ますます市場が拡大する医療機器分野について関西を引っ張る新しい産業として育てていきたい」と意欲をみせる。

 ◆アジア進出を支援

 企業の海外ビジネスを支援する日本貿易振興機構(ジェトロ)大阪本部は、関西経済とかかわりが深いアジアへの中小企業の進出支援に力を入れている。

 アジアでは給水、排水処理、リサイクルなどの環境分野や太陽光、風力などを活用する再生可能エネルギー分野で、外国企業の進出を求める声が高まっており、同分野で技術力を持った関西の中小企業にとってビジネスチャンスが生まれているという。

 この潮流に合わせ、大阪本部はベトナム、タイ、カンボジアなどメコン地域諸国の多様な情報を収集・発信することを目指したメコン地域プラットホーム事業を4月から強化。また、7月には環境産業の育成に取り組む中国・山東省で開催される産業博覧会やベトナム・ホーチミンでの工作機械展で、それぞれ「ジャパンブース」を設け、中国やベトナム市場への進出に意欲的な関西の中小企業の出展をサポートする。

 大阪本部では、大阪市・中之島の事務所を拠点に貿易、投資相談への対応やビジネスライブラリーの運営など多彩なサービスを実施。さらに海外企業の関西進出をサポートする「インベストKANSAI」事業にも取り組んでいる。

 「ものづくり中小企業にとって海外市場の開拓はこれまで以上に重要な課題になってくる。ジェトロの蓄積している情報やネットワークを存分に活用してもらえるように企業への働きかけを強めていきたい」と土屋敬三大阪本部長は話している。

◇    ◇

近畿経済産業局 深野弘行局長に聞く


 最悪期からは脱したものの、先行きには不透明感が漂う日本経済。関西の中小企業が置かれている現状や今後の経営戦略などについて、近畿経済産業局の深野弘行局長に聞いた。

海外の人材積極活用を

 −−関西の中小製造業が置かれた現状をどうみる

 「足元の状況は、最悪期を脱しつつあるという感じだ。鉱工業生産指数は昨年2月が底で、それ以降は回復基調にある。平成21年10〜12月期の国内総生産の改定値も実質の年率換算で前期比3・8%増だった。ただ、持ち直しの動きをリードしているのは中国などアジア向けの輸出で、中小企業よりも大企業が先行している分野。どの程度まで中小企業に裾野が広がってくるかが注目される」

 −−異分野の2社以上の中小企業が自社の強みを持ち寄り、新事業に取り組む「新連携」。中小企業の活性化にどう貢献したとみる

 「高い成果を上げていると思う。『三人寄れば文殊の知恵』だ。平成17年の開始以降、近畿では累計で136件の事業計画が認定された。累計での売上金額では、全国の約800億円のうち300億円近くを近畿が占めている」

 「今後、強化すべきなのは『出口戦略』だ。すべての認定案件が成功しているわけではない。うまくいくべきものがうまくいかないということにならないよう、外部の専門家の手助けも借りながら、きちんとフォローアップしていくことが求められる」

 −−3月初め、航空機産業への参入を目指す中小企業を支援するミッションに深野局長も参加し、ボーイング社など米国企業との交流を行った。手応えは

 「成果の多いミッションだった。参加企業はプレゼンテーションだけでなく、自社の技術が航空機のどこに使えるかをアピールするために、事前に準備していったので、米国企業ともスムーズに話に入れた。ただ航空機産業の場合、いつ採用されるかは別の話。今飛んでいる航空機というよりも、次世代の航空機など、将来の楽しみが増えたと思う。関西にも航空機産業にかかわっている企業は多く、もともと潜在力はある。他地域と連携しながら、盛り上げていければいい」

 −−アジアの需要が拡大する中、中小企業は外需をどう取り込めばいいのか

 「いろんなやり方があるのではないか。一例が外国人留学生の活用。卒業後、日本で働きたいという留学生は少なからずいる。関西でも、海外と取引をしている中小企業は、留学生に活躍の機会を与えてもいいはずだ。実際、優秀な外国人をうまく活用し、進出先でビジネスを軌道に乗せた中小企業の事例もある。海外でビジネスをするのは、もう特別なことではない。必要があれば、対応可能な人材を機動的に雇う時代になっているのではないか」

 −−産経新聞社による中堅・中小ものづくり企業を応援する「関西情報サロン」が発足から1周年を迎える。これまでの感想と、今後どんなことを期待するか

 「面白いプロジェクトをいろいろと見つけ出しているという印象がある。『連携が新しいものを生み出す』というのが私の持論。今後はそうした発掘作業と並行して、企業同士を幅広く連携させてほしい。当局としても『新連携』を始めとするツール(道具)をできるだけ動員し、そうした連携の動きを応援していく」

 ふかの・ひろゆき 慶大経済卒。昭和54年通商産業省(現経済産業省)。大臣官房審議官(地球環境問題担当)、北海道経済産業局長、原子力安全・保安院次長を経て、昨年7月から近畿経済産業局長。神奈川県出身。

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