2010年4月 1日
科学の魅力伝えます 京都大の研究者 小中学生に"出前授業"

若い世代の理科離れが指摘されるなか、小中学生らに科学の魅力を伝えようという草の根の取り組みが広がっている。第一線で活躍する大学の研究者が地域に出向く“出前授業”や、大学生が考案した実験に子供たちが参加する“科学イベント”など形態はさまざまだが、「科学のおもしろさを知るきっかけになった」と評判も上々だ。大学教育を地域に還元する試みとしても注目を集めている。
理科離れに草の根支援 大学教育を地域に還元
「じつはヒトとチンパンジーは98%同じなんですよ」
京都大学霊長類研究所の足立幾磨助教が会場の子供たちに語りかけると、プロジェクターにチンパンジーの顔がアップで映し出され、食い入るように見つめる子供たちの目が輝いた。
3月26日。関西文化学術研究都市(京都府精華・西木津地区)にある体験施設「私の仕事館」で開かれた“博士の出前授業”の光景だ。学術研究の楽しさを知ってもらおうと、今年1月から産経新聞京都総局の企画で始まった。
大学の専門分野の研究者が毎月、地域の学校や施設に出向いて授業を行っており、これまで京大大学院農学研究科の谷坂隆俊教授が「イネの品種改良」、京大大学院医学研究科の小賀徹講師が呼吸困難を引き起こす難病「突発性肺線維症」について講義を担当。3回目の今回は「ヒトの祖先の進化」がテーマで、京都の小学3年から6年の児童と保護者約30人が参加した。
授業では足立助教が動物の進化の歴史を振り返りながら、人間とサルの共通点やそれぞれ優れた特性について解説。とくにチンパンジーは数字を瞬時に識別する能力が人間より優れているとされ、子供たちは実験でチンパンジーが実際に使用した数字識別ゲームに挑戦。チンパンジーの能力の高さに驚いていた。また、会場からは「動物は常に進化するのですか」などと活発な質問が相次いだ。

母親と一緒に参加した京都府木津川市の小学4年生、赤川舞花さん(10)は「チンパンジーが人間よりすごい能力をもっていることにびっくりしました」。授業を担当した足立助教は「子供たちが自然に触れる機会が少なくなっているだけに、こうした機会を通して自然科学の感動を伝えることは意義深い」と話した。
こうした取り組みは他大学でも行われている。大阪府立大学では理学部物理学科の学生が2008年から授業の一環として、地域の小中高校生を対象にした“実験授業”をスタート。昨年7月には中百舌鳥キャンパスで学生が考案した実験を披露する「なかもず科学の泉2009」を開催し、家族連れら約700人でにぎわった。
また、大阪電気通信大学も2年前から、親子で実験やものづくりに参加してもらう「テクノフェアinねやがわ」を学内で開いており、昨年11月のイベントには約1500人が参加。地域参加型の恒例行事として定着し始めているという。
【写真説明】
(上)「ヒトの祖先の進化」をテーマに講義を聞く参加者。科学の面白さを知ることが、学ぶ動機になる
(下)チンパンジーが実際に使用した数字識別ゲームにも挑戦
(2010年4月 1日 20:17)
Category:教育
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