2010年4月 5日
【産創館レポート】医師不足に救世主 薬剤師「外」へ出る
薬剤師は薬局の中で働いている―。そんな常識を変えることで、新しい地域医療のあり方を提案しているのがファルメディコ(大阪市北区)の狭間研至社長だ。
実は外科医という狭間社長。6年前に母が経営する薬局を引き継ぎ代表取締役に就任した。きっかけは、医師として働くうちに、医療崩壊への危機感をつのらせたことにある。
医師不足、看護師不足は深刻で、その労働環境は過酷。狭間社長は、薬局・薬剤師の在り方を変えることで、この問題を改善できるのではないかと考えたという。
既存の薬局は、病院のすぐそばに店舗を構え、患者が持ってくる処方箋(せん)を待つというのが主流。薬剤師は、薬局の中で処方箋どおりに調剤を行うのが仕事だった。
これに対し、狭間社長の提案する薬剤師は、薬局を出て高齢者居宅や介護施設を訪問。服薬指導をするとともに、血圧や体温を計測し、体調変化があれば医師や看護師に報告する。調剤指示を待つだけではなく、医療メンバーの1人として医師たちと連携していくことで、薬剤師の意欲、そして地位向上につながると考えたわけだ。
これは、高齢者の立場からしてもメリットは大きい。忙しい医師には遠慮して言いにくいことでも、薬剤師ならば服薬指導の合間に気軽に話ができ、見守ってもらえているという安心を感じることができるからだ。
薬局・薬剤師が地域医療の担い手の一員となれば、医療崩壊は食い止められる。そう考える狭間社長は、自社の薬局で雇用している薬剤師に、血圧・体温・脈拍測定などのバイタルサインチェックの研修を実施。その上で、高齢者居宅や介護施設に訪問させている。これをモデルケースとして紹介することで、いまでは共感する薬剤師や医療機関が増えてきているという。
医師と薬局経営という2つの顔を持つ狭間社長にしかできない方法で、新しい薬局の在り方を社会に提案している。
(大阪産業創造館プランナー 下野麻佐子)
【写真説明】研修会で薬剤師に聴診器の使い方を教える狭間社長(右)
(2010年4月 5日 09:11)
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