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【産創館レポート】伝統守りつつ、効率化にも注力

【写真説明】「何世代にもわたってご愛顧いただいてこそ、本当の『老舗』といえる」と話すたこ梅5代目店主の岡田哲生氏 大阪を代表するおでん専門店がミナミの道頓堀川沿いにある。創業167年の老舗「たこ梅本店」だ。

 同店の客層は30~40代のビジネスマンや50代以上が中心。上司が部下を連れてきたり、子どもや孫と一緒に来店する常連客も多いという。「味と雰囲気を信頼していただき、何世代にもわたってご愛顧いただいてこそ本当の『老舗』だといえる」と5代目店主の岡田哲生氏。長きにわたって愛され続ける店づくりの秘訣(ひけつ)を聞いた。

 実は、たこ梅本店は2002年に先代の女将が病に倒れたため一度閉店したが、5代目の岡田氏が07年にリニューアルオープンした。「以前の店舗を改修したが、昔から親しまれたものは極力残した」という岡田氏の言葉通り、店内には“日本橋”を模した欄干や、ひのき製のカウンターなど、当時の面影を最大限に残してリノベーションされている。

 名物は「さえずり(鯨の舌)」など鯨ダネの関東煮と「たこ甘露煮」。さえずりは調査捕鯨のものをブロックのまま取り寄せ、下ごしらえに1週間かける。また、たこ甘露煮は瀬戸内海産の新鮮なマダコのみを厳選し、秘伝のだし汁で炊き上げる。どちらも手間ひまを惜しまない昔からの製法を忠実に受け継ぎ、伝統の味を守り続けている。

 “変わらない”ことを大切にしながらも、店舗運営の効率化にも注力した。経営を引き継いだ当初は、店舗が繁盛しているにもかかわらず、赤字が続いていたという。原因を調べようとしても、必要なデータが集計される仕組みがなく、現状の把握から始める必要があった。

 定番以外の、季節ものを旬の時期だけに限定することで、季節感を出すと同時にロスをゼロに近づけ、全4店舗分を専用作業場で一括仕込みをすることによって品質の向上と効率化を実現。また、人員を柔軟に配置できる仕組みを構築し、人件費の低減と接客レベル向上を両立させた。

 「お客さまから見えないところほど手を抜かず、当たり前のことを当たり前にする。このことを実践し、100年後も老舗の味を守り、営業を続けていたい」。岡田氏は意気込みをこう語った。

(大阪産業創造館プランナー 齋藤考宏)

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