2010年4月24日
緑のリハビリ 大学が園芸療法士を養成
医療・介護の現場で活躍期待
草花と触れあうガーデニングや田畑づくりを通して、心身機能の回復に役立てる「園芸療法」。認知症などの改善効果も期待されることから、“緑のリハビリ”といわれる。全国的にもまだなじみの薄いこの療法を、大阪河崎リハビリテーション大学(大阪府貝塚市)や大阪信愛女学院短期大学(大阪市城東区)がカリキュラムに取り入れ、医療・介護現場での指導を担う“園芸療法士”の育成に取り組んでいる。高齢社会を見据えた新たな人材育成といえそうだ。

園芸療法は第2次世界大戦後、帰還兵の心を癒やす目的で米国や北欧で普及したのが始まり。高齢者や知的障害者のリハビリ、鬱病(うつびょう)などの精神疾患の改善に効果があるとされ、日本では約20年前から広まったが、大学など教育機関の実践例は少ないのが現状だ。
大阪河崎リハビリテーション大学は2006年4月、前身の河崎医療技術専門学校の組織改編により開学。国家試験の理学療法士、作業療法士、言語聴覚士を目指す3専攻を備え、全国大学実務教育協会認定の園芸療法士の資格が取れるカリキュラムを導入した。大学の農園で1年間、草花や野菜を育てる「園芸療法実習」や人間と園芸の関係を探る「園芸療法論」などの科目があり、植物の栽培はもちろん、学生同士が園芸療法士と患者役となり、コミュニケーション力を高める実践的な授業を行っている。園芸療法の先進国カナダでの海外研修もあり、初の卒業生を送り出した今春には64人の園芸療法士が誕生。今後、医療・介護施設で活躍が期待されている。
授業を受けた2年生の阿瀬裕太さん(19)は「土の温かさを知りました。園芸療法が心のリハビリに活用できるのはすばらしい」。指導する佐竹勝教授は「種をまき、花を育てる園芸療法の精神は他者への慈しみが求められる医療行為に通じるはず」。講師の数珠(じゅず)美穂さんも「園芸を通して人間的な成長が期待できる」と語る。
一方、大阪信愛女学院短期大学は2004年から園芸療法をカリキュラムに取り入れ、学生だけでなく、社会人にも門戸を開いているのが大きな特徴だ。
元ケアマネジャーの永美千保美さん(54)は福祉関連の仕事に従事しながら1年間の授業を受けて園芸療法士の資格を取得。「この仕事の意義を社会に広めていきたい」と語る。同大では昨年、カリキュラムの履修生を対象にした「園芸療法士の会」を発足し、学生と卒業生の交流も進めている。
園芸療法を指導する看護学科長の高井明徳教授は「大学教育の資源を園芸療法という形で社会に還元することにも、大学の存在意義がある」、非常勤講師の寺田裕美子さんは「これからは医療や介護施設だけでなく、在宅医療にも園芸療法の効果が期待されている」と語る。関西ではこのほか、甲子園短期大学や園田学園女子大学短期大学部にも園芸療法士の育成カリキュラムが導入されている。
【写真説明】大阪河崎リハビリテーション大学の園芸療法実習。草花と触れあい、他者への慈しみの精神を学ぶ
(2010年4月24日 13:16)
タグ:園芸療法, 大阪信愛女学院短大, 大阪河崎リハビリテーション大, 芸療法士
Category:教育
この記事と同じカテゴリの最新記事
2012.01.06
2012.01.06
2012.01.06
2012.01.06
2012.01.04


