2010年5月10日
【産創館レポート】気概受け継ぎ、新たな仕掛け
「社長が変われば、会社も変わる」といわれるが、世代交代は企業の存続という意味だけでなく、業態転換、組織再編、新規事業など企業が変革する絶好の機会でもある。
栗原(大阪市西区)は、帽子の企画生産・卸売り・直営小売り事業を展開。これまで卸売りがメーンだったが、1999年に小売業態に本格参入。4代目社長に就任予定だった栗原亮氏が原宿に初の直営店「帽子屋OVERRIDE9999」をオープンした。
当時は帽子の小売りで多店舗展開している例がなかったこともあり、社内の同意や協力が得られなかったが、亮氏は「成功したら社内外に認められる」と一大決心。試行錯誤の末、約2年間で軌道に乗せ、今では直営店舗を全国に約40店舗展開している。直営店で得た顧客のニーズを商品企画に生かして生産するというシステムを構築し、店舗開発やブランド戦略でも業界で一目を置かれる存在となった。当時のことを栗原裕会長はこう振り返る。「難しいと思ったが、彼の強い決意を感じて懸命に努力する限り、やらさなアカンと一切口を出さず、すべてを任せました」
裕氏自身もかつての「渋カジブーム」の時代に3代目社長に就任。渋谷の若者を観察しながら「ポロシャツにジーンズの若者がかぶる帽子は野球帽だ」と直感し、即座にメジャーリーグに掛け合い商品化。若い男性がキャップをかぶる文化を仕掛けた張本人だ。経営者の意志は、行動と実績で周囲を納得させられることを誰よりも理解していたのだろう。
「経営者に必要なものは常にアンテナを張る意欲」と裕会長が言えば、「経営者の想像しているゴール以上には、会社は発展しない。自分の『意志』を社員に伝えるのが仕事」と亮社長は熱っぽく語る。
印象的なのは、2人がかぶる帽子。そのスタイルに世代の違いはあるものの、「意志ある経営」だけでなく、同社には「帽子屋の社長たるもの、帽子を普段から被るべし」という文化が代々継承されている。
(大阪産業創造館 事業部長 山野千枝)
(2010年5月10日 10:04)
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