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【産創館レポート】ルアーで板金業の「すきま」釣る

紫藤製作所が生産したルアーの金属部品 紫藤(しとう)製作所(大阪市平野区)は社員5人の金属加工業で、自動車部品を製造する典型的な大手依存型の町工場だったが、7年前に転機が訪れた。

 主要取引先が生産拠点を海外に移したことで売り上げが大幅に減るという状況に直面。新規開拓や営業活動の必要性を痛感した紫藤誠社長は、ファクスによるダイレクトメール(DM)や飛び込み営業などをはじめた。この活動が実を結び、自動車の一次サプライヤーから大型受注を獲得し、危機を乗り越えた。このときの困難をきっかけに、新しい柱が必要だと考えはじめた。

 そうしたなか、あるルアーメーカーから「外注先と納期トラブルが発生し、困っている」との相談を受けた。納期は短かったが、今まで自動車部品や電気部品を手がけてきた経験とノウハウがあれば対応できると判断した紫藤社長は、すぐさま注文を受け、金型から製品までを手配した。納期を守りメーカーから信頼を得たことで、新しい取引先も紹介され、ネットワークは広がりをみせた。

 紫藤社長は「ルアーの金属パーツ」に市場性を感じ、約2年前に自社ブランドを持つルアーメーカーをターゲットに、プロペラやブレードといったオリジナルパーツを少量でOEM(相手先ブランドによる生産)するサービス「ルアービルダー工房」に乗り出す。

紫藤誠社長(左)と社員ら=大阪市平野区 反応は上々で、ロゴの刻印や金型の保管など周辺のサービスも提供し、口コミやリピートにより売り上げは安定し、今では全売上高の2割以上を占めるようになった。

 また最近は「ルアーを作るのに適した生産設備がない」「今の設備だと大掛かりになってしまう」という顧客ニーズに対応し、ルアー製造に最低限必要な機能だけを装備した小型で安価なルアー製造用旋盤を開発・販売している。

 板金業といえば、他社との差別化が困難な業種だが、同社のようにニッチ(すきま)市場を見いだし、独自サービスを提供することができれば、競合しない事業領域を作り上げることができる。これは町工場が生き残っていく上で有効な経営戦略のひとつで、紫藤社長は「ルアー部品以外でも、板金技術が生かせる市場を見つけたい」とさらなる飛躍を誓う。

(大阪産業創造館プランナー 井上史之)

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