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「中学受験ココロコミュ」で「先生に聞こう!!」がスタート

 「家族みんなを応援する」をキーワードにした中学受験ポータルサイト「中学受験ココロコミュ」が教育現場に関わりのある「先生」にインタビューしていく「先生に聞こう!!」コーナーを開設した。「先生」たちの熱い思いを通じて学校の未来やこれからの教育を探る試みで教師だけでなくさまざまな「先生」の声を集めていく予定だ。

 平成20年にスタートした「ココロコミュ」は企画・編集プロダクション「株式会社サン・ロワ」(大阪市天王寺区)が運営。今年4月にリュニューアルオープンし、従来のメディアでは伝えきれなかった関西の私立中学・高校の魅力を掘り起こしていく「学校力研究所」などを新設した。「先生に聞こう!!」は同研究所の中のコンテンツで、第1回には大谷中学校・高等学校教諭の永田幸子さんが登場。教師としてだけではなく女性、母親としての立場から自身の経験や子供たちへの思いを語っている。

 「ココロコミュ」で公開されている永田さんのインタビューの要約は以下の通り。全文は同サイト内の「先生に聞こう!!」で。 

先生に聞こう!!

 

『見方を変えれば、損が財産になる』

――

学校を卒業されてすぐに、こちらで先生になられたんですか?

永田

大学は別のところに行ったんですが、
卒業してすぐにまい戻りまして大谷の教員になりました。

――

そこからはずっと大谷で先生をされていたのですね。

永田

いえいえ。当時は「25歳までには結婚せよ」と言われるような時代でして...。
不本意にも専業主婦なるものを経験いたしました(笑)。
いったん学校をやめまして、結婚して...。
主人の会社が東京にありましたものですから、
東京にしばらく住んでおりました。

 ――

何年ぐらいですか?

永田

7年ぐらいですかね。
専業主婦としては9年ほどでしょうか。
ずっと東京にいるものと思っていたんですが...。
運命と言いますか...。                            
帰らざる得ない状況になりまして、大谷に非常勤として戻ってきたんです。
だから再就職なんです。                            
専業主婦をしている時は、キャリアが無くなるので「損をした」と、
文句ばっかり言っていたんですけどね(笑)。    
ところがね、今日も生徒に話をしたのですが、
「損をする」とか「不利益を被る」とかは見方を変えればそうではないということがよくあるんです。
専業主婦をしていた時に、
子育てに濃厚に関われたことが今となっては大きな財産になっていますし...。
苦情を言われるお母さん達の気持もわかります(笑)。
「わが子が一番」という気持ちもわかります(笑)。

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『学校とは、損を覚えにくるところ』

――

「今時の子供」というものについて先生に伺ってみたいと思うのですが。

永田

そうですね。一概には言えないことですけども、
「無気力だ」と初めに言われていた世代がもう30歳ぐらいになっていますし...。
ただね、家庭の様子が変わってきたというのは、これば事実なんですね。
昔はお母さんがお家にいるのが当たり前で、
今は働きにでるのが当たり前ですね。
シングルの家庭も増えてきていますよ。
それが悪いという意味ではなく、家庭環境が多様になってるんです。

――

なるほど

永田

例えば、離婚問題に巻き込まれ早く大人になる子どもがいたり、
その一方で大変幼いままで成長していく子どもも増えてます。
「真綿にくるんで大きくしました」というようなお子さんっていうのでしょうか。
「家では叱ったことがないので学校で叱ってほしい」というような声もあるんですよ。
だから、家庭の教育力が相対的に落ちていると感じますね。

――

私は子供をもつようになってから、
自分の親たちはなぜ自然に躾(しつけ)ができたんだろうって、
不思議に思いますねー。

永田

それは倫理観ですよね。
欧米はキリスト教世界をバックボーンに宗教的な倫理感を持っています。
でも日本はキリスト教国ではないですが、お天とう様が見ているとか、
他人に迷惑をかけないなどの倫理感を地域ぐるみでもっていたのだと思います。
最小の努力で最大の成果をという表面的な合理主義だけが戦後導入されたんじゃないでしょうかね。

――

「自分が得であればそれでいいという考え方」になってきているということですか?

永田

そう思います。
でも、学校は「損」をしにくるところなんです。
「損」を覚えにくるところです。

――

え?「損」を?

永田

そうです。
学校は「自分のことを皆が理解してくれる場所」ではないんです。
「みんなのことを自分が理解していく場所」なんです。
「自分だけが得をする」というようなことが
1800人集まって成立するはずがないんです!
大きなグループでも小さなグループでもすぐに仲良くなるなんて嘘ですよ。
そんなことはありえません。
学校とは、がまんしたり、悔しがったり、
でも協力したり認めあえたりして楽しいこともある。
そういう訓練の場なんです。

『未来への海図を手渡すために』

――

先生個人のお話に戻りたいと思いますが、
なぜ先生になろうと思われたのですか?

永田

nagata002.jpg 中学2年生の時の歴史の先生でね、
その先生はミニスカートをはかれていたんです。
当時はミニスカートで"ツイギー"なんて言葉が流行ってましたからね。
そして頭はお団子でカンザシさして講談師のように現れて、
大変面白い歴史の授業をされてたんですね。
でも、ただ面白いだけではなくて、
教科書に書いていない本格的な歴史を教えてくださいました。
ただただ事実的な歴史だけでなく、ものの切り口を教えてくれたというか、
こんなに歴史はおもしろいものかと感激したんです。
当時は女子はお嫁にいけばいいというような考えがまだ一部にあった世の中でしたから、
女の先生方が「あなた達はチャンスがあるんだから、もっと勉強しなさい!!」って私達を励ましてくれて非常に有難かったんです。
ある先生からは「あなた達の中から大統領になる人がでてもいいのよ」とも
はげましてくれたんですが、その時は子どもだったので、
「先生、日本から大統領はでませんよ」とか言ってましたけど...(笑)

――

その先生方の教えは授業の仕方にも影響はありますか?

もちろんありますね。
影響を受けていると思います。
私は『未来への海図』を持たすために歴史の授業があると思っているんです。それこそ、未来はわからないわけで、
情勢の分析力や判断力が必要なわけですから。

――

男子は歴史が好きな人が多いですよね。
でも、女子教育においても歴史を通じて海図を持たせてやることが大切なんですね。

永田

そうですね。                           
この混迷の時期に「本当の意味で学んでいるか、いないか」で大きく差が出ると思います。

――

授業の中で特に大切にされていることは何ですか?

永田

基本的には『未来への海図』を持ってほしいというのが一つのゴールではあります。授業では本質を見せてやることも心がけています。
もちろん手品師的に少しずつ面白味を小出しにして興味を引くとか、
覚えさせるために歌にするとかのテクニックもあるのですが、
例えばイスラム世界の授業でイスラム教の本質を教えることで、
イスラム教の一部のテロ行為の報道などを見ても、
イスラム教は危険だと誤った判断をすることはありません。
本質を教えることは『未来への海図』を持つための的確な理解や判断をするということでもありますし、                           
できるだけ自分の問題として捉えさせて、ずっと考え続けさせることにつながると思います。

――

では、世界史という教科教育の中で、今後していきたいことや、
夢というのはありますか?

永田

やっぱり受験にとらわれない世界史を教えてみたいです。
でも実際は受験のようなハードルがないとなかなか勉強する気にならないとも思いますけどね。

――

世界史の授業は最後は近現代史まで 辿りついていないような印象があって、
だから近現代史を 理解していないので新聞を読んでもピンとこないんじゃないかと思っているのですが...。

永田

そうですね。そういった意味でも近現代史をじっくり教えたいですね。
それで現在の社会の仕組みが理解できて、『未来への海図』も持たせられます。
だから江戸で終わってしまっては、海図は渡せませんよ。

『何を言うてんねん!オカンは!』

――

今後のご自身の目標はありますか?

永田

学校の教師というのは教壇にたって授業をすることが基本です。
『未来への海図』を持たせるというような大きな事をいいましたが、
子ども達と一緒に学ぶ日々の生活、日々の地道な仕事が目標です。

――

農作業みたいですね

永田

教師の仕事は子供達に日々水をやり、陽にあてたり、肥料をやる、子育てと同じ仕事ですからね。

――

子育て世代の方々にアドバイスをお願いします。

永田

成長期の子どもの親の仕事は体にいい食べ物を提供すること。
そして、心を育てていく...。
つまり、目には見えない大切なものを教えてくことだと思います。
先日、ノートルダム清心学園(理事長の)の渡辺和子先生が
「子どもは親の言うとおりにはしない。親のする通りにする」
とおっしゃっていました。
例えば、日常で悪口を言うような家庭でしたら学校でも悪口を言う子どもになります。
だから親が「きちっと生きていく」しか対策はないんですね。
偉そうな事を言いましたけど、わが子が聞いていましたなら、
「何を言うてんねん!オカンは!」って言われてしまいますわ。

 《先生に聞こう!!》第1回 大谷中学・高等学校教諭 永田幸子さん
プロフィル】大阪市阿倍野区に所在する大谷中学校・高等学校出身。母校である大谷中学・高等学校で社会科・世界史の教員として22年間勤務。現在は広報の顔とも言える入試対策部長としても活躍。2人の子どもを育て上げた母でもある。

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