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円高「相当しんどい」関西悲鳴 中小企業 利益や顧客減少懸念

 1ドル=84円台の円高が続く中、関西の中堅・中小企業は輸出企業を中心に悲鳴を上げている。海外事業での利益の目減りや顧客減少などを懸念する声が聞こえてくる。政府・日銀の円高への対応は鈍く、為替の動向に一喜一憂する状況が続きそうだ。

 「トゥー・レート(遅すぎる)」。水門メーカー、丸島アクアシステム(大阪市中央区)の島岡秀和社長は、政府・日銀の対応にいらだちを募らせた。

 同社は海外案件を円建ての価格をもとに現地通貨に換算して決済しており、円高が進むと、価格が上がる。島岡社長は「取引先からは値下げ圧力が強くなっている」と嘆く。

 古紙再生業、関西紙料(同市生野区)の竹内康晴社長も「1ドル=80円を割ってくると、国内外の価格差がさらに大きくなり、相当しんどくなる」と漏らす。
 

円高「相当しんどい」関西悲鳴

 大阪市信用金庫が7月、大阪府内の中小企業に「景気回復の決め手」(複数回答)を聞いたところ、「政府や自治体の景気対策」(61・8%)との声が多く、円高対策を求めていることをうかがわせた。

 サクラクレパス(同市中央区)の西村貞一社長は「決算時に円建て換算すると、利益が目減りしてしまう」と話す。1円の円高で100万〜200万円の減益要因となり、「せめて1ドル=95円の水準になってほしい」と悲鳴を上げる。また、大阪商工会議所の副会頭としては「輸出産業が厳しくなれば、雇用が崩れる。政府は円を防衛しないといけない」と話した。

 9月以降、中国や台湾、米国へ輸出を始める計画を立てていた工具メーカーのエンジニア(同市東成区)。高崎充弘社長は「円高で売れづらくなるのではないか」と話す。サッカーW杯試合会場の屋根工事を請け負った太陽工業(同市淀川区)の能村光太郎社長は「海外生産へのシフトも喫緊の経営課題の一つ」とした。

 外食産業もさまざまな懸念を抱く。大商副会頭の小嶋淳司・がんこフードサービス(同市淀川区)会長は「原材料を輸入しているので円高のメリットはあるが、デフレなのでその分、値下げ圧力が強まる」と警戒。グルメ杵屋(同市住之江区)の椋本充士社長は「中国や韓国などからの観光客が減り、店舗に影響が出るのでは」と心配する。

 りそな総合研究所の荒木秀之主任研究員は「大企業ほど体力のない中小企業は為替に振り回されるだろう」と分析した。

大手メーカーも警戒感

 輸出に支えられ、業績を回復させている関西の大手メーカーも円高に警戒感を強めている。さらなる円高は、業績の圧迫と製造業の海外流出を招きかねず、政府に対策を求める声も強まりそうだ。

 輸出で稼ぐ製造業では、円高ドル安は売り上げや利益の目減り要因となる。対ドルで1円円高になると、年間の営業利益がパナソニックで20億円、シャープで10億円の減益になる見通し。パナソニックは平成22年4〜6月期決算の発表で下期は「円高の影響がある」とし、税引き前利益を下方修正。下期に80億円の為替差損が発生すると警戒感を強めている。ドルの年間想定レートも期初から1円円高の89円に見直した。

 円高の進行は、製造拠点の海外移管を加速させている。パナソニックは兵庫県尼崎市のプラズマパネル工場の一部設備を中国に移管。2012年度に同国での生産能力を約5倍に高める。円高で4〜6月期決算の営業利益が約25億円押し下げられた村田製作所も、平成25年3月期までに海外生産比率を30%と現在の2倍に引き上げる。日本電産の永守重信社長は、今月中旬の記者会見で「為替の影響を受けない態勢を作るため、ドル地域、ユーロ地域、円地域と事業を分散させる」と強調。世界各地で現地生産態勢を確立する考えを示した。

 大半の企業の対ドル想定レートは、80円台後半から90円前後が中心。想定を上回る為替水準に、事業戦略の見直しを迫られる可能性がある。日清食品ホールディングスの安藤宏基社長は25日、「84円台を放置するなら、政治にものを言わなくてはならないこともある。このままでは海外で(製品を)つくって日本にもっていくという流れがさらに強くなる」と警鐘を鳴らした。

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