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【スイーツ物語】父から受け継いだ職人魂

松島俊哉さん(左)と義典さんの兄弟 仕事柄、ケーキ職人さんたちとお話をする機会がよくありますが、多くの方は仕事を覚えるとき、「師匠や先輩のすることを見たり、器具に着いた生地やクリームをこっそりなめたりして盗んだ」とおっしゃいます。ところが先日、珍しいお話をお聞きしました。

 大阪府寝屋川市の「フリアン」。オーナーパティシエの松島保英さんは一級製菓技師で「現代の名工」、勲六等単光旭日章も受章されたほどのお方です。お店は長男の俊哉さんが継いでいますが、父からお菓子作りを教わるとき、「手早くまぜる」「少しずつ加える」「粗熱をとる」など、科学的根拠を元にした説明を受けたそうです。そういう教えはしっかりと記憶に残るものです。

 俊哉さんは大学卒業後、修業のため大阪のホテルに入社。そこでは見たこともないお菓子が出されていました。実家に戻ると、シュークリームやショートケーキなど定番のお菓子ばかりで、少し物足りなさもあったといいます。

 そんな彼に父は「おれたちは町医者。ホテルの職人は大学病院の先生や」。つまり、ホテルのお菓子はめったに行かないよそ行きのもの。われわれはご近所の方が毎日のおやつに食べるお菓子をいつもきちんと用意しておかなければならない―ということを伝えたかったのでしょう。

 俊哉さんはしっかりとその言葉を理解して精進し、2年前、「なにわの名工」(大阪府優秀技能者表彰)に選ばれました。

 ちなみに松島家の次男、義典さんは7年前、フランスでのお菓子の世界大会に日本代表として参加し、総合2位に輝いています。

 立派な父に育てられた息子たち。毎日おいしいお菓子を作り続けようと努力される職人魂には、普段着もよそ行きもありませんね。(関西スイーツ代表/三坂美代子)

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