(60コマ)鶴屋八幡−中央区今橋
手の上で咲き乱れる桜きんとん
「御菓子」と書かれた入り口の大きな看板は、明治時代の作という。
今橋の「鶴屋八幡」は、元禄年間に創業した「虎屋」の流れをくむ老舗だ。船場の商人にとって、茶はたしなみの一つ。ひいきの客の好みに合わせた、さまざまなお茶席用の上生菓子を作り続けてきた。
今も本店の奥の工場で、和菓子職人が毎朝、生菓子を作っている。
訪れたときは、桜が咲き乱れる様子をイメージした「桜きんとん」の仕上げの真っ最中だった。職人の緑輝美さん(62)が、細く伸ばしたピンクと白の餡を、丁寧にはしでつまんで芯の粒餡にのせいく。「大事なのはバランス」と緑さん。餡を重ねるごとに、手の中に一輪、また一輪と桜が咲いていくようだ。
桜をモチーフにした菓子だけでも、20種類近くのデザインが伝わっているという。「伝統を絶やさず、次の世代に伝えていくのも重要な仕事」と緑さんはいう。
併設の茶房にも、「桜きんとん」やつぼみをイメージした「初桜」など春の生菓子がそろっていた。
(2006/3/10) |